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【藤岡市鬼石3】4段の石垣の上に佇む養蚕農家

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INTRODUCTION
この古民家のある藤岡市坂原は、かつて多野郡鬼石町に属し、神流川流域の豊かな山林資源と清流に恵まれた地域です。
藤岡市は、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である「高山社跡」を擁するなど、かつて養蚕・絹産業で栄えた地域として知られています。
鬼石・三波川・坂原といった山あいの集落でも、山の斜面を活かした桑畑づくりと養蚕が盛んに行われ、人々の暮らしを支えてきました。

現地を訪れてまず目を奪われるのは、見事な石垣です。

小ぶりな石を丁寧に積み上げて築かれたその姿には、思わず足を止めて見入ってしまいます。 実は、この石垣に使われている石の多くは、敷地の造成時にこの土地から掘り出されたものだそうです。

山の斜面を切り拓き、平らな敷地をつくり、その上で養蚕農家としての暮らしを築いていく。当時の人々の並々ならぬ労力が想像されます。

こうして生まれた石垣は、単なる造成の痕跡ではなく、この土地で営まれてきた暮らしの歴史そのものです。
堂々と積み上げられた石垣からは、この地域に受け継がれてきた石組みの技術と石材文化の豊かさが伝わってきます。

▲下を走る道路から、坂原地区への入口へ入り、カーブを曲がると現れるのがこの景色。丁寧に積み上げられた石垣が4段にわたって築かれ、その上に古民家が佇んでいる。

▲山間部では、神流川などの氾濫リスクがある川沿いの低地を避け、川よりも一段高い山腹の斜面に集落が築かれてきた。この地でも、斜面を切り拓き、自ら石垣を積み上げて雛壇状の敷地を造成し、その上に住まいを構えている。安全性と日当たりの良さを兼ね備えた、山間地域ならではの住まいの工夫がうかがえる。

▲現代の感覚では「交通が不便な山奥」に映るかもしれない。しかし、養蚕や山林経営が盛んだった時代、この地域は多くの人々の暮らしを支える生産の場であった。山あいの集落に残る石垣や建物からは、この土地で営まれてきた暮らしの豊かさを想像させる。

▲近隣には国の名勝・天然記念物に指定されている「三波石峡」や神流川の清流があり、四季折々の渓谷美が楽しめる。夏は川遊びやキャンプ、秋は紅葉など、都市部の喧騒を離れ、自然と深くつながる暮らしを楽しめるロケーション。

▲和室が田の字状に並ぶ伝統的な間取り。襖を外すことで広々とした大空間となり、祝言や法事、地域の寄り合いなど、多くの人が集う場として活用されてきた。

▲現在は天井が化粧板で覆われているが、その上には古民家ならではの梁や天井根太が残されている。改修の際には化粧板を取り外し、年月を重ねた梁や根太を現しにすることで、古民家らしい空間をより感じられるかもしれない。

▲玄関を入って正面にある居間。かつて家族が日々の暮らしを営んできた空間で、当時の建具や造り付けの神棚、仏壇などが残されている。床や壁を整えれば、再び家族や仲間が自然と集まる居場所となるだろう。

▲当時の青い30センチ角タイルが印象的な台所。思い切って現代的なキッチンを導入し、床や壁、天井を整えれば、古民家の趣を残しながら快適な空間としてよみがえりそう。

▲古民家の2階からは、下久保ダムと山並みを一望することができる。思わず時間を忘れて眺めていたくなるような風景。ここで暮らした人々もまた、一日の終わりに、この景色を眺めながら季節の移ろいを感じていたのかもしれない。

  

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